麦ふみクーツェ いしいしんじ 読了

友人に借りて読み終えました。

麦ふみクーツェ

麦ふみクーツェ

久々に読み応えがあって面白い小説だなと正直に思った。


以前、村上春樹を好きで読んでいた僕にとって、この小説はその頃の本を読んでいた雰囲気を思い出させてくれた。当たり前だけども、本はひとりで読む(ちなみに昔の当たり前は声に出してみんなで読むことだったようだけれども)。大体の小説と言うのは、せっかくひとりで読んでいるのに、登場人物たちがうるさいし、ナレーターも登場人物たちの内心を暴露しようと必死に見える聞こえる。


で、麦ふみクーツェはと言うと音楽が鳴っていて、たまに重くなったりもするけれど、概ね心地いい。なんというか、彼らは彼らでよくやっている。お父さんもおじいちゃんも(それなりにいろいろ抱えながら)いる。(と言うことは、やっぱり父権性なんてことも絡むのだけど、それは、まあ、また今度。)


そうそう、麦ふみクーツェは音楽の小説です。音楽をやっていて、いい音が出たり、出なかったり、理論的になってみたり、技術の所為にしてみたり、(そしてもちろんそれらは大切なのだけど)、そんなこんなしてる間に、忘れてしまったことや音を、思い出させてくれました。