ロバート・B・パーカー『告別』 読了
- 作者: ロバート・B.パーカー,Robert B. Parker,菊池光
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1992/01
- メディア: 文庫
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“どうでもいい”という言葉をスペンサーから聞くと思わなかった。
「バランスを維持することだ」ホークが独り言のように言った。「なみなみと水を注いだコップを持って、こぼさないで歩く気持ちだ。心を鬼にすることだな」
p22
考えるかわりに、自分が鈍い疼きのバランスをとることに神経を集中しているのに気づいた。注意を怠らなければ、その疼きが絶望感に変わってゆくのを抑えることができる。
p59
ここ数週間に、注意してさえいればコントロールできる一種のリズムがあることを知った。うっかりすると簡単にそのリズムを失うが気持ちを集中しているとそのリズムの中に身をおいて鋭い苦痛を味わわなくてすむ。また、リズムを維持していると、何かをしていることになる。生活にある種の目的が出来て、自分を見失わないで生きてゆける。人間は目標が必要だ。
p59